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100グラム100円のステーキが国産和牛に勝利するとき。 [BOOKS]

IMG_0367.JPG税務調査が先週あり、その対応をしてくれた部下の慰労会を昨日銀座でやった(写真)。お店のほうは任せるからと言ったら、案の定、焼肉屋になった。美味しそうなホルモンがたくさんあったので、私も好物のマルチョウ(丸腸)を注文した。ダイエット終了後緊張感がなくなってしまい、このところ肉と酒の日々が続いている。

メニューに一人前2200円の「絶品カルビ」というのがあって、部下の手前少し格好つけて2人前注文してみた。なるほど適度にサシが入っていて肉質が柔らかくて美味しかった。今私がしたこのコメント、グルメ番組で高級な焼肉を食べたときにするグルメレポーターのコメントを真似てみたのだが、そもそも肉の柔らかさと美味しさの間には相関関係はないということを、友里征耶(ともさとゆうり)さんという方が『グルメの嘘』という本で書いている。

友里さんは、確かに人工的に作り出したサシが入っている和牛も美味しいが、硬くて不味いといわれるアメリカ牛のなかにあって、アンガス牛は硬くても肉本来の美味しさがあると指摘している。友里さんはこの本で「世の料理評論家、グルメ・ライター、グルメ雑誌記者、マスコミ関係者などは、本当は美味くもない料理を無理やり美味いと言って、一般人を騙している」ということを主に書いている。

以前、こんなテレビ番組があった。テーブルに1本500円のワインと1本数万円のワインがそれぞれグラスに入っている。それを、グルメを自認する芸能人が目隠しをして飲み、どちらが1本数万円のワインか当てるという番組だ。ワインと同様、100グラム100円の牛肉と100グラム数千円する国産和牛のステーキを食べて、どちらが国産和牛かを当てるというのもあった。結果は驚いたことに、半数以上の芸能人が安いほうのワインと牛肉を選んでしまったのだ。

人間の舌というのは実にいい加減なものだとこのとき思った。1本500円のワインでも、有名シェフやソムリエが「これは1本5万円のワインです」と言えば、「実にまろやかで美味しいワインですね」と思わずほとんどの人はコメントしてしまうものなのだ。人間は実に権威に弱い、そういうことも言えるかもしれない。

そういえば先月、私はある料理店でボジョレヌーボーをいただいた。ワインに興味がないので味はどうでもよかったが、一緒にいたある方が「今年のボジョレーは50年に一度の出来らしいね。だからきっと美味しいよ」と言っていたが、この段階で彼はもうボジョレヌーボー関係者の戦略にまんまとひっかかっていると言える。大体、ボジョレヌーボーを50年間飲み続け、かつ、それらを比較できる人はどこの誰なのだろうか。一般人、庶民というのは実に愚かなものだから「50年に一度の出来」と聞かされただけで興奮し、知ったかぶりをして伊勢丹あたりで一本買ってしまうのだ。

友里さんは反骨のライターで、タブーに切り込んでいこうとする姿勢は立派だと私は思うが、世の中、騙す人と騙される人がいるお陰で回っている部分というのもあるわけで、何でもかんでも物事を一刀両断にすることだけを声高に叫び続けると、世の中が窮屈になることもある、私はそんな感じもする。

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