想像力を使いましょう、「便所めし」の学生さん。 [BOOKS]
先日ここで、男子便所で昼食を取る学生がいる話を書いた。その後、そのような昼食が「便所めし」と呼ばれていることを、小谷野敦さんの『友達がいないということ』という本を読んで初めて知った。
この本によると「便所めし」とは、大学で昼食をとるのに一緒に食べる友達がおらず、そのことを恥ずかしがり、誰にも見られないように、トイレ(男子トイレの大便所)にこもって食べることをいう。この話を聞いて、若い頃あまり友達がいなかった小谷野さんは胸が痛んだという。
さて、一般論でいえば、友達は少ないよりも多いほうがいいような気がするが、小谷野さんは「結局、友達がいない、少ない、できにくい、というようなことは、最終的には、あきらめるしかない」と結論づけている。なぜなら、友達がいない、一人ぼっちというのは「自分自身の性質とか、偶然とかによって」どうしても現実に起こってしまう現象だからだ。
私も友達は少ないほうだと思う(事実、携帯電話が全く鳴らない日が結構ある。)。でも、だからといって淋しいということはない。なぜなら、もともと私は一人でいることがあまり苦にならないほうで、旅行は必ず一人でするし、焼肉屋も平気で一人で行く。家にいれば、テレビ好き・ラジオ好き人間だから、テレビやラジオを相手に喜怒哀楽している。でも私は、周囲の人との協調性は普通に持ち合わせているし、サービス精神も結構旺盛なほうだと思う。
作家の伊集院静さんによると、人間の究極の幸せは、「一人遊びを見つけること」だという。なるほど、生きづらいこの世の中で、自分を見失わないようにするため、お金をかけずに自分なりに楽しいことを見つけることは一つの方法かもしれない。
小谷野さんの言うように、友達がいないというのは現実にあるし、それは別に悪いことではないと思う。たとえ友達がいなくても、伊集院さんが提案するように、楽しい一人遊びを見つけるという方法などで上手く生きていくやり方はいくつかあるような気がする。でも、どんな場合でも、想像力というものはきちんと持っておくべきだと思う。「便所めし」の学生にはこの想像力が決定的に欠けているような感じがする。
写真は、東レが発表した2011年の水着。今年のテーマは「cheerful healig(陽気な癒し)」だそうだ。どういうことなのか、よくわからないね。それに、「癒し」という言葉、あまり好きじゃない。「癒し」より「いやらしい」ほうが断然好きだ。
2011-06-05 20:14
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コメント(2)
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そういうお説教をしても意味がない、と言っているのです。
by 小谷野敦 (2011-06-12 01:41)
小谷野さん、コメントありがとうございました。
著書のほう、いろいろと参考にさせていただいております。
ありがとうございます。
karubi
by karubi (2011-06-12 08:21)