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闇の世界、版画家・ゾウのマーク・北朝鮮。 [芸術]

TBS系列で「岸辺のアルバム」という名テレビドラマが放映されたのは今から30年前だった。八千草薫、杉浦直樹などが出ていた。国広富之はこの作品でデヴューした。平穏無事に見える中流家庭の崩壊がテーマで、このドラマの脚本を書いたのが山田太一さんだった。それから数年後に大ヒットすることになる「ふぞろいの林檎たち」も彼の手によるものだった。

今日の「日曜美術館」で、その山田太一さんが版画家・濱口陽三について語っていて、なかなか面白かった。闇の中から出てくるような濱口の絵は、西洋印象派の眩しい光とは対極にある日本の感性であるとか、題材を日常にこだわっている点は映画監督である小津安二郎と共通点があるとか、脚本家らしい視点での解説に説得力があった。光と影(闇)、日常というキーワードは、山田さん自身の作品テーマでもあることは、番組が進んでいくと自然とわかってくる。

さて、午後から新宿に出た。高円寺に引越ししてから新宿が今まで以上に近くなった。実はまだ引越し荷物が完全に整理できていないのだが、そんな折、松本引越しセンターの社長が自殺したというニュースが流れた。私はこれまで引越しはずっとゾウのマークの松本引越しセンターに頼んできたので、この会社には少なからず親近感を持っていたので驚いた。自殺した社長は創業家の2代目で、まだ43歳と若い。激戦の引越し業界にあって、なかなか業績が伸びなかったことが自殺の原因といわれている。遺書には「私は弱い人間でした」と書かれていたという。何の不自由もなく育った創業家2代目の心の闇とは何だったのだろうか。

新宿「面影屋珈琲店」のカウンター席は一杯で、仕方なくテーブル席に座った。しばらくすると若いカップルが横のテーブルに座った。居酒屋や喫茶店で横に座ったカップルなどの会話に聞き耳を立てるのは、私の悪い癖だ。今日のカップルは知り合って間もない感じで、年はともに20代半ば。男性のほうがどうも落ち着かない。ストローを入れてあった紙袋を何度も結んでいる。会話が途切れ途切れで、突然、男性「この前の台風凄かったね」、女性「そうね」。会話終了。こんな感じだ。私が少し話題を提供しようと思ったが、余計なお世話なので止めた。でも、彼のもじもじとした姿が何となく新鮮に映った。

そんな初心(うぶ)なカップルの横で、オジサンはちょっとアダルトな本を読んでいた。『実録 北朝鮮の性』。韓国に脱北した著者が10年位前に著した本の文庫なのだが、日本に住んでいる私たちから見ると滑稽、異常としか思えない北朝鮮の性事情を垣間見ることが出来る。この国にはコンドームがほとんど出回っていない。もし結婚前に女性が妊娠した場合、中絶しなければならない。これは党の方針で決められている。北朝鮮にはラブホテルがない。では、好きあった男女はどこでセックスをするのか。一つは青姦。とうもろこし畑やわらの山で性交する。もう一つはトイレだそうだ。

少し前に、日本の厚労大臣が「女性は子供を生む機械」と発言して物議を醸し出したが、北朝鮮には特殊な任務を課せられた女性たちがいて、まさに人間機械と化している。彼女たちは「胎児生産組」と呼ばれるグループに属していて、党の勢力絶倫幹部に身を捧げ、妊娠すると子供を産むのではなく、中絶して胎児を取り出す。胎児は、精力剤や強壮剤に調剤され、金主席や党幹部に捧げられる。嘘のような本当の話と著者は書いているが、もし本当であるならば、この国はどうにかしている。闇だらけの国、それが北朝鮮なのかもしれない。

写真は、濱口陽三の作品「Bottle with Lemons and Red Wall」。


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蝶々

karubiさん、こんばんは。

私も最近、似たような本を読みました。カニバリズム(人肉を食べる文化)の話なんですが、中国の富裕層はかつて、山間部の貧困層から赤ん坊を買って来て宮廷料理のようにして食べていたのだそうです。

北朝鮮は民族的には、朝鮮民族なんですよね?漢民族には、食人の闇の風習があるようなんですが。
どっちにしても、おえ~!ですね。犬鍋もサルの脳味噌もみんな無理です。

生きている人間ほど、妖怪のように思えるこの頃です。
by 蝶々 (2007-09-09 23:06) 

karubi

蝶々さん、おはようございます。

嘘のような本当の話とありますが、北朝鮮の話はかなり具体的に
記載されていますので、多分本当なんでしょうね。
北朝鮮のすごいのは、胎児を食べる点ですね。若い女性が中絶
させられた場合、胎児は穴を掘って埋めるのではなく、金主席の
「長寿研究所」などに送るよう指示されているのだそうです。

とにかく薄気味悪いですね。この国はどこかで必ず爆発するような
気がしますね。

蝶々さんのおっしゅるとおり、本当の妖怪、化け物は人間そのもの
なのかもしれませんね。

karubi
by karubi (2007-09-10 08:16) 

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