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寅さんもハマちゃんも、成長なしの甘えん坊です。 [映画]

IMG_0488.JPG新卒採用の学生面接が先週でようやく終わった。結局今年は女性2名に内定を出した。男性も採用したかったのであるが、面接をしてみると相対的に女性の方が堂々としていて落ち着きがあり、迷わず女性に決めた。面接で私は「どうして当社を希望したのですか」という野暮ったい質問は一切しないことにしている。最近ハマっている作家は誰ですか、どんなアルバイトをしていますか、酒は好きですか、コンパはどこによく行きますかなど、普通の会社ではあまりしないような質問ばかりする。こういった質問をすると学生はイキイキしてくる。何故なら、あまり考えなくてもすべて答えられるからである。

学生をリラックスさせて好きなように喋らせる、これが私の作戦なのだ。肩の力を抜くとその人の「素」が出るからである。学生からすると変な面接だと思うかもしれないが、私からするとそれで初期の目的は達しているのである。

最近ハマっている作家で多かったのは、「容疑者Xの献身」の東野圭吾だった。村上春樹かと思っていたので意外だった。ところで、昔から学生の必読書というのがあって、私の頃でいえば土居健郎『甘えの構造』なんかはその一冊であった。折角の機会だと思い、今の学生の必読書は何か面接した学生にくまなく聞いてみたが、残念ながら答えてくれた人は誰もいなかった(というより、今の学生は本を読まなくなっているのかもしれない)。

『甘えの構造』の内容はほとんど覚えていないが、概略、「甘え」とは人から好意を得たいという気持ちのことで、日本社会はこの「甘え」の社会であるという話だったと思う。この「甘え」で思い出す映画がある。それは、渥美清が「フーテンの寅」こと車寅次郎を演じた「男はつらいよ」シリーズである。釧路にいた頃私の両親は、「男はつらいよ」の新作が出ると一緒に映画館に出かけて行った。涙あり、笑いありの映画で国民的映画ということになっているが、私も何本か観たが、正直言うとあまり好きな映画ではない。

あまり好きではない理由は、いつまでも寅さんが一人前にならないからである。寅さんは生まれ故郷である葛飾柴又の草団子屋の家族に「甘え」ているし、家族のほうも寅さんを厳しく叱ることなく腫れものに触る感じで甘やかしている。寅さんは「確信犯」であるから、多少のワガママは家族が受け入れてくれることをよく知っている。家族のほうもそれを承知の上で寅さんの機嫌を取る。この繰り返しであるから、この映画はいつも似たような展開となってしまい変化に乏しくなってしまう。要は、つまらないのである。

山田洋次監督こそ「確信犯」なのかもしれないが、寅さんをいつまでも甘えん坊で半人前の男に留めておく理由が私にはよくわからない。涙あり、笑いありではあるかもしれないが、「甘え」続けて一向に成長しない国民的キャラクターに私は正直、飽きるのである。そういえば、「釣りバカ日誌」も山田洋次脚本作品であるが、西田敏行演じるハマちゃんも万年ヒラのサラリーマンで、なんとなく寅さんと相通じるキャラクターのような感じがする。

さて、5億円詐欺で捕まった小室容疑者が、母からの手紙に涙したという。母は手紙で「世間様に謝罪しなさい」と叱り、これを受け小室容疑者は「世間の皆様にお詫びしたい」と語ったらしい。以前私は、日本では「世間」という仮想共同体が大切にされるということを書いたが、ここでもやっぱり「世間」が登場してきた。音楽の世界で一度は天下を取った小室容疑者がここに至って初めて「世間の皆様」という表現を使ったのではないかと私は想像する。我が世の春を謳歌していた時期には、きっと地球は自分中心に回っているぐらいに思っていたに違いないから、「世間」のことなんて考えたことはなかっただろう。

1か月以内に北海道出張が4回ある。その合間を縫って京都・大阪にプライベートで行かなくてはならない。実は先週、京都旅行用にと新しいコートを買ったのであるが、その日の夜泥酔していまい、どこかで失くしてしまった。多分タクシーだと思うのだが、いろいろ手続きが面倒臭くて途中で諦めてしまった。全くついていない。

写真は昨日の新宿。このあたりが私の新宿における定点観測地点である。

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