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裸男の蘇民祭、もともとは庶民のガス抜きなんです。 [BOOKS]

今日午後、新宿歌舞伎町で(写真)、警察官から職務質問を受けた。もちろん初めての体験である。いつも通りリュックサックを背負い、コンパクトデジカメで街の様子をパチパチ撮っていたら、革のコートを着た恰幅のいい新宿二丁目(ゲイタウン)に行ったらもてそうなナイスフェイスの警察官が私のところに近寄ってきて「防犯強化をしておりまして、ちょっとお伺いしたいのですが、リックサックのなかに刃物などは入っておりませんか?」と不躾に聞くので、「持っておりません」ときっぱり答えると、「ありがとうございました」と一礼しその警察官は去っていった。こんな感じで本当に防犯強化はできるのだろうか。それにしても、私の行動が警察官には挙動不審に映ったことだけは事実のようだ。結局、私は変なオジサンであることを再認識する羽目となった。

さて、橋下大阪府知事が元気である。先日はNHK番組に30分遅刻したとかしないとかで一悶着起こし、今度は自らの政策を「机上の空論」だと言って、とにかく話題に事欠かない。彼の性格からいってこういうことが起きるのは時間の問題だろうと国民は思っていたに違いない。ところで、今回の二つの件については、橋下知事の怒りはいずれもマスコミに向けられている。NHK問題はNHKと橋下知事との間で起きた約束事の問題であるからいいとしても、「机上の空論」問題については、マスコミ全体の報道の仕方に関する大変重要な問題である。

マスコミがよく犯すことに、自分に都合のいいように衝撃的な見出しや記事を作ることがある。発言者、今回で言えば橋下知事が話したことの全体像や文脈といったものを軽視し、世間的にウケそうな部分だけを取り出してつなぎ合わせる。橋下知事はこのマスコミのやり方に切れたわけだ。私はずっとこのブログで言い続けていることであるが、今一番堕落しているのは間違いなくマスコミである。自分たちの権力は絶大だと思っている。何でも出来ると思っている。残念ながら、しばらくしたら橋下知事は必ずマスコミからしっぺ返しを喰うに違いない。でも、橋下知事にはめげずにがんばってもらいたいと思う。橋下知事のマスコミ対して怒る感性のほうが正常なのだから。

ところで、フジテレビの報道2001で今日、ちょっとしたバトルが起きた。「机上の空論」発言に対して、議事進行役である黒岩キャスターが橋下知事に噛みついたのだ。御覧になった方も大勢いると思うが、二人は本気でケンカをしているように見えた。両人のあまりの剣幕に、ゲストの田中杉並区長や片山前鳥取県知事も黙っているしかなかった。この出来事をどう捉えるべきなのか。私は、黒岩キャスターにマスコミとしての驕りがあったと思う。私は先日、マスコミは提案型の報道を心がけるべきだと言ったが、今日のバトルは提案でもなんでもなく、単に自分の役割を逸脱し、自分の考え方を無理矢理橋下知事に押しつけようとした黒岩キャスターの醜い姿であったと思う。見ていた多くの視聴者は不快感を抱いたに違いない。マスコミに長くいるとこうなるという悪い見本を見た気がした。

話は変わって、本の話。日本よ、日本人よ、自信を持ってがんばれという内容の本を日下公人さんは一貫して書かれている。その日下さんの最新刊は『あと3年で、世界は江戸になる! 』というびっくりするようなタイトルの本である。要するに、世界で評価されている日本の良さの原点は江戸時代にその源流を見出すことができるというお話である。博学多識である日下さんの本はいつも勉強になるのであるが、今日この本を読んでいてあるところで目が止まった。

日本三大奇祭の一つとされる岩手県の「蘇民祭」が先日行われ、今年は全国の注目を集めることとなった。「蘇民祭」は、五穀豊穣、災厄祓いなどを願って褌一丁の男たちがぶつかり合う神事だ。この「蘇民祭」がポスターになり、駅に貼ったところ、褌姿の男たちの写真は猥褻(わいせつ)ではないかとの指摘を受け、取り外したというところから少し話がおかしくなってきた。神事のクライマックスでは、文字通り全裸になった男が登場するのだが、今年に限り、会場近くには警察官が大勢待機し、もし、男性の全裸姿が公の場に晒されたなら、その場でその男を逮捕するつもりだったらしい。一方、祭りの主催者側も知恵を絞り、その瞬間が来る直前に電気を消して、全裸の男性が周囲には見えないようにする作戦に出たのである。これが見事に成功し、今年は主催者側の勝利に終わったようだ。

日下さんによると、お祭りというのはもともと庶民のガス抜きをするために行われてきたもので、後日、お祭りをすることによって五穀豊穣とか災厄祓いなどの願かけをするようになったというのである。そうか、お祭りと言うのはもともと、お祭りをやることによって庶民がまた明日からがんばって働こうというきっかけにする行事だったのだ。そのお祭りを、猥褻だという理由で警察が取り締まってしまったら(猥褻なぜ悪いと喝破したのは、大島渚監督だが)、庶民は明日への活力を見出すどころか、行政に対する不満が募って気持ち良く働くことができないかもしれない。文化、風俗への警察介入は如何なものでしょうかという話である。


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コメント 2

蝶々

リュックサックに刃物は入っていませんか?なんて、どんだけ~?
唐突過ぎて笑っちゃいますよね。
カルビさんは刃物を入れてるように全然見えませんよ。
蘇民祭。面白そうなお祭りですよね。見に行ってみたいと思ったけど、女人禁制なのかな?
そんな部分ばっかりにこだわるほうが、逆にわいせつな気もします。
逮捕する警官だって持ってるものですからねーー;
by 蝶々 (2008-02-17 23:31) 

karubi

怪しいオジサンに見えたんでしょうね。
でも普通の格好してたんですよ。
格好ではなくて、少し大きめのリュックがいけなかったのかも。
刃物はなかったですけど、パソコンはありました。
蘇民祭。テレビで見ましたけど、勇壮でしたよ。
ポスターもなぜいけないのかと思いますし、神事のときに裸に
なるのは他のお祭りでもよくありますよね。
神事は、チン事ですから(これは失礼)。

karubi
by karubi (2008-02-18 07:51) 

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