SSブログ

荷風さん、一生結婚するつもりのない男性、7%です。 [BOOKS]

世田谷文学館では今、永井荷風のシングル・シンプルライフ展という企画展が開催されている。私は新聞の文化欄を読んでいてこの催しがあることを知った。この企画展の狙いは、30代で2度の離婚をして以来亡くなる79歳まで独身生活を続けた永井荷風の生き方に、現代人が生きるヒントを見出すことができるのではないかというものらしい。若い頃離婚したとはいえ、2度離婚歴のある永井荷風が本当にシングルライフを送ったと言えるのかどうか甚だ疑問ではあるが、人生の大部分を独りで生活したという点に、私は少し興味を抱いた。

国立社会保障・人口問題研究所という国の機関が5年に一度、「結婚と出産に関する全国調査」というのを実施していて、そのなかで「独身者調査」という調査を行っている。最新調査は平成16年9月のもので、その調査結果がなかなか興味深い。まず、男性未婚者のうち、いつかは結婚したいと望んでいる割合は87%で、一生結婚するつもりはないと回答したのはわずか7%だった。ちなみに女性未婚者も同じような結果になった。続いて、結婚の利点はという質問に対しては、男性は「精神的な安らぎの場が得られる」が一番多く、女性では「自分の子供や家族を持てる」が一番多かった。

次に、独身の利点はという質問に対しては男女とも「行動や生き方が自由」という回答が圧倒的に多かった。そして、なぜ結婚しないのかという質問については年齢層によって回答の傾向が少し異なったが、25歳以上の人たちは「適当な相手にまだめぐり会えない」という回答が半数以上を占めた。この調査結果を一言でいえば、「未婚者は男女とも結婚したいと願っているが、まだ適当な相手にめぐり会っていないので独身でいる」ということになる。なーんだ、実にありふれた結果だという気がしないでもない。でも調査結果をよく見てみると、男女とも「一生結婚するつもりはない」と回答する割合が毎回増加していることにも気付く。

そもそも、独身者調査をすること自体、独身ということが何か悪いことであるかのような前提に立っている気もする(単なる統計の一つかもしれないが)。なるほど昔はいつまでも独身であることはあまり褒められたことではなかったかもしれない。私も若い頃、早く結婚しなさいと母からよく言われた。今と違い家族制度がしっかりとしていた時代には、家の存続維持などを目的に、適当な時期に結婚して子供をもうけることが求められていたのかもしれない。それに世間体ということもあったかもしれない。いつまでも独身でいると、親戚や近所の人からうるさく言われるからだ(今も田舎ではそうかもしれない)。

時代が変わり、結婚するかしないかは個人の自由になったが、それでも古い道徳観というのは厳然としてあって、いつまでも独身でいることに対する批判めいた風潮は完全に消えたわけではない。一方、この頃は進んで独身でいることをカッコいいとか、一種のファションだとして誇らしげにする人もいるが、これはこれで少し不自然というかやせ我慢をしている感じがする。私が思うに、独身について今の時代に必要なことは、当事者も周囲の人間も、独身であるということについて特別視しないことではないかと思う。お互い自然体でいればいいのではないだろうか。

結婚しているか否かというのは外形とか手続きの問題である。独身者であっても既婚者であっても、大切なことはその人の心構えというか、しっかりとした生き方のスタンスを持っているかどうかという点ではないかと思う。その点からすると、私も含め昔に比べると女性にとって魅力的な独身男性が減っているのかもしれない。一方で女性の社会的意識はどんどん高まっている。こういうことが、独身者の男女を増やす一因になっているのだろうと思う。今日はどうも結婚をしない自分の弁明書のような格好になってしまったが、お許し願いたい。

写真は、最後の大物独身女優である鈴木京香さん。私もファンである。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。