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綾小路きみまろさんの、中高年オバサンに対する、深い愛情。 [北海道]

IMG_0538.JPG漫談家である綾小路きみまろさんは、年に100回以上公演を行う。どの公演も常に満席で、観客のほとんどは中高年のオバサンたちだ。その「お客」さんであるオバサンたちに向かって毒舌を連発しながら、それでも綾小路さんはオバサンたちに絶大な人気がある。その秘訣は何なのか? それは「オバサンたちを一つだけ褒めること」にあるらしい。

これは、先日放送されたテレビ番組の話である。この番組を観て私は、綾小路さんのオバサンに対する並々ならぬ深い愛情を感じた。その愛情を感じるからこそ、オバサンたちも彼を支持するに違いない。

さて、木曜日から札幌に行っていたのだが、シャンソン歌手のサカイレイコさんがススキノの銀巴里にゲスト出演しているというので、木曜日の夜、ライブを観に行ってきた。サカイさんとは新宿ゴールデン街で出会ったのだが、抜群の歌唱力と歯に衣着せぬ彼女のトークは多くのファンを惹きつけている。

彼女はライブのトリとして3番目に登場した。その前の二人の歌手も上手だったが、サカイさんの歌唱力は抜群だった。レベルが一つも二つも上、そんな感じだった。

本当のプロと、そうでないプロの違いはどこにあるのか。例えばサカイさんのような歌手の場合はどうだろうか。思うに、歌うこと自体、また、歌おうとしている曲に対する、愛情の強さ、深さの違いにあるのではないだろうか。サカイさんは以前のコンサートのときに、ある曲を上手く歌おうと思ったら、その曲を一日何十回も聴いて練習すればなんとか歌えるようになる、そんな趣旨の話をステージでしていた。

この話を聞いて私は、なるほどと唸った。私も歌が好きでよくカラオケをするが、自分の持ち歌にしようと思う曲でも、練習する回数はどうだろう、せいぜい一日数回ではないだろうか。この、一日数十回と一日数回の差異は、単にプロ歌手と素人という違いだけではなく、歌うこと自体、また、歌おうとしている曲に対する愛情の強さ、深さの違いなのではないだろうか。

銀巴里ではわがままを言って、サカイさんにシャンソンではない安全地帯の「ワインレッドの心」をリクエストして歌ってもらった。歌詞はもちろん暗記していたし、歌も私より数段上手だった(当たり前か。)。彼女は多分、この曲を相当歌い込んでいるに違いなかった。

次に、画家はどうだろう。花を描く、人物を描く、木を描く、描く対象物がどんなものであっても、画家は対象物に深い愛情の眼差しを注いでいるに違いない。綺麗な一輪の花が描かれるとき、普通の人であれば「あー、綺麗な花だ。」と一度切りの感動でそれでおしまいであるが、画家は何度も何度もその花の美しさに感動しながら、愛情を込めてその花の美しさを描こうとしているのだろう。

この手の話は何も芸術に限ったことではない。繁盛するラーメン店の店主にはラーメンという食べ物に対する並々ならぬ愛情があるのだろうし、出世したビジネスマンには、自分の業務に対する真剣な取り組み姿勢があったに違いない。つまり、どんな分野の仕事でも、その世界で秀でる人には、その仕事に対する深く、そして強い愛情があるのだろうということだ。

冒頭の綾小路さんの話に戻るが、中高年のオバサンたちの悪口ばかり言っていながらも、彼女たちに圧倒的に支持されている綾小路さんは、心の中では、中高年のオバサンたちに深い敬意を払っているに違いない。そういう気持ちが心底ないと、彼の毒舌は単に毒舌だけで終わってしまうだろう。

そんなことをつらつらと考えながら、それでは一体自分は、今何に愛情を注いでいるのか、そう自問してみた。結論は残念ながら、「ない。」ということだった。果たして、それでいいのだろうか。多分、よくないのだろうと思う。この話は別の機会に、また書いてみたい。

写真は、北大のポプラ並木。昨日の朝、撮ったものだが、数日前だともっと黄色が鮮やかだったらしい。

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